お知らせ

2026.10.06

【開催レポート】「健やか親子支援フォーラム2026」を開催いたしました 〜診断前後の孤立を防ぎ、すべての子どもたちと家族に寄り添う社会へ〜

2026年9月18日(金)、東京・都道府県会館において「健やか親子支援フォーラム2026(早期診断と相談支援の新しい基盤づくり)」を開催いたしました。

国内に約600万人存在する希少難病患者様にとって、大きな課題となっているのが確定診断の遅れ(診断ラグ)です。この空白期間は、患者やご家族だけでなく、診断に苦慮する主治医(かかりつけ医)にとっても大きな重圧となっています。

当協会では2021年より、専門医や検査先を示す「情報の地図」として「健やかラピス」を運営してまいりました。しかし「地図だけでは辿り着けない」現場の課題を受け、2026年1月には非専門医を確かな診断へ導く「ナビゲーション」として「難病ホットライン(相談窓口機能)」を新たに搭載いたしました。
本フォーラムは、この「地図」と「ナビゲーション」を一体化させた早期診断インフラを社会全体で支えるべく、医療・行政・当事者・企業が集い開催されたものです。

当日は多くの皆さまにご参加いただき、温かく熱意にあふれる議論が交わされました。


1. 開会挨拶・問題提起「診断前後の空白と当事者・ご家族の声」

フォーラムは、一般財団法人 健やか親子支援協会 理事長 河村秋による開会挨拶で幕を開けました。河村は、5年前から無料検索サイト「健やかラピス」を構築・運用してきた歩みに触れ、今年本格稼働した非専門医と専門医をつなぐ「難病ホットライン」を、民間ボランティアだけに頼るのではなく社会全体で支える基盤(インフラ)へ育てていく必要性を訴えました。

続いて、患者家族会の代表おふたりから、現場で起きている切実な問題提起が行われました。

  • 池田真紀子 様(FOXG1症候群患者家族会代表) 生後まもなく症状が現れながらも病院を点々とし、確定診断までに11年を要した実体験を発表されました。病名が分からない長年の孤立感を明かし、早期診断と迅速な介入、そして難病ホットラインという道標の重要性を強く訴えられました。
  • 大河原和泉 様(レックリングハウゼン病患者会 To Smile代表) 診断後における「どの診療科を受診すべきか分からない」「小児期から成人期への移行が難しい」といった「診断後の空白」が存在する課題を提示。「健やかラピス」が高度医療(IRUD)への架け橋となるだけでなく、地域のホームドクターと専門医をつなぎ、地域での経過観察を支える重要な役割を果たす期待を示されました。

2. 来賓ご挨拶「行政・政治とともに築く社会的インフラ」

本フォーラムには、難病政策や社会保障の整備に深く関わってこられた国会議員の先生方も駆けつけ、温かい連帯と支援のお言葉を頂戴いたしました。

  • 加藤勝信 衆議院議員(元厚生労働大臣) 11年間診断がつかなかったご家族の重圧に想いを寄せ、専門医へ迷わずつながる「健やかラピス」「難病ホットライン」の意義を強調。「行政に『そっと』支えてほしいという当事者の声に対し、『そっと』ではなく『しっかりと』国がサポートするべきだ」と力強く明言され、民間の歩みを国としてもしっかりサポートしていく決意を語られました。
  • 大串正樹 衆議院議員(衆議院厚生労働委員会) 身内の難病での葛藤に触れつつ、医療DXが進む中で患者さんやご家族が悩まずに早く道が見つかるフレンドリーな仕組みづくりの大切さを語られました。

また、参議院厚生労働委員会理事の石田昌宏先生からも、未診断の時間を減らし確実な支援へつなげる環境整備の重要性を伝える力強いメッセージが寄せられました。


3. 基調講演・専門講演「医療とデータの力で切り拓く早期診断と切れ目のない支援」

講演セクションでは、難病医療や遺伝子解析の第一線で活躍される4名の先生方より、最新の専門知識と将来の展望が示されました。

  • 佐谷秀行 先生(藤田医科大学 腫瘍医学研究センター長) 「早期診断の必要性とこれからの医療」と題し、相談窓口に寄せられるデータをリアルワールドデータ(RWD)として蓄積・構造化する意義を強調。AIを活用して緊急度の高い症例を見抜き、専門医へつなぐ速度と質を高める未来像を示されました。
  • 池川志郎 先生(骨系統疾患コンソーシアム代表) 「骨系統疾患コンソーシアムの現状と課題」として、700以上存在する骨の希少難病の実情を紹介。専門医と非専門医・患者をオンラインで直結する相談窓口の重要性と、遺伝子診断時代の成果を報告されました。
  • 千葉勉 先生(関西電力病院 特任院長 / 京都大学名誉教授 ※ビデオメッセージ) 「難病・早期診断と早期治療を目指して」と題し、全世界で6,528種類の異なる希少疾患が存在する中での「診断ラグ」解消や、小児期から成人期へスムーズに診療を引き継ぐ「移行医療」における健やかラピスの有用性を解説されました。
  • 小原收 先生(かずさDNA研究所 副所長) 「遺伝子と診断―たとえそれが『コップ半分の水』であっても」と題し、保険収載された指定難病遺伝子検査の約8割を担う検査体制の実績を紹介。検査による解明が道半ばである現状に真摯に向き合い、データの共有と蓄積が次世代の医療や創薬を拓く鍵であることを語られました。

4. パネルディスカッション「立場を超えて会場全体で紡ぐ、共生社会への熱い議論」

後半のパネルディスカッションでは、堤正好 先生(日本衛生検査所協会 顧問)がモデレーターを務め、登壇者だけでなく会場の参加者も交えた活発な意見交換が行われました。

【フロアからの生の声と、深まる議論】 討論が深まるにつれ、議論は登壇者間にとどまらず会場フロアへと大きく広がりました。会場に駆けつけた患者会代表者や当事者の皆さまにマイクが渡されると、リアルな現場の葛藤や熱い思いが次々と語られました。

  • 患者会ネットワークと国の連携を求める声
    2型コラーゲン異常症患者・家族の会代表者様からは、「診断ラグや診断後の支援不足は多くの患者会に共通する課題。当事者自らが蓄積してきた知見やネットワークを国の政策形成にも生かし、持続的に参加できる仕組みを作ってほしい」との提言がなされました。
  • 患者会を取り巻く歴史的課題と『健やかラピス』への期待
    特定非営利活動法人 筋無力症患者会様や高インスリン血性低血糖症患者と家族の会様からは、新旧の患者会が抱える構造的な悩みや、同じ病気の仲間を見つけるまでに10年以上を要した苦難の歩みが共有されました。「既存の枠組みにとらわれず、同じ方向を向いて連携できるプラットフォームとして『健やかラピス』に大きな希望を感じている」という切実な声に、会場全体が深く頷いていました。

こうしたフロアからの発言に対し、登壇者の先生方も深く共感を示し、医療者と当事者間のコミュニケーションを阻む「詰まり」をいかに解消していくかについての議論が白熱しました。

最後にコメントに立った厚生労働省難病対策課 課長補佐の渡邉洋之助 様からは、「患者会や研究者の皆さまが現場で抱える生の声、そして『健やかラピス』の取り組みは、難病法の基本理念である『克服と共生』にまさに添うものです。本日いただいた熱い意見を受け止め、対話を大切にしながら政策を進めていきたい」との心強いお言葉をいただきました。


5. 未来への約束「優しさに包まれた社会を、皆様とともに」

フォーラムの締めくくりとして、一般財団法人 健やか親子支援協会 専務理事 川口耕一より閉会のご挨拶と「未来への約束」が述べられました。

未診断の時間がもたらす孤立や悩みに寄り添い、病名がついた後も安心して暮らせる「優しさに包まれた社会」を皆さまと共に作り上げていくこと、そして健やかラピスと難病ホットラインを社会全体の温かい仕組みとして育てていくことが誓われました。


6. 【フォーラムの模様をYouTubeにて公開中】

「当日会場に参加できなかった」「各登壇者の講演やパネルディスカッションをもう一度じっくり聞き直したい」という皆さまに向けて、フォーラムの様子を公式YouTubeチャンネルにてアーカイブ配信中です。

登壇者の想いや最新の取り組みを映像でご覧いただけますので、ぜひ下記よりご視聴ください。

https://youtu.be/xuOMgnRpnQQ

画像イメージ:YouTube動画のサムネイル画像(フォーラムのオープニング画面または登壇風景) キャプション案:【アーカイブ配信】「健やか親子支援フォーラム2026」当日の全編動画はこちらからご視聴いただけます

▶ [健やか親子支援フォーラム2026 公式YouTube動画の視聴はこちら(外部サイト)]


【希少難病を抱える子どもたちの未来のために】

健やか親子支援協会(エンジェルスマイル・プログラム)では、未診断のお子さまやご家族を迅速な医療へつなぐ「健やかラピス」の運営や、患者会支援を行っています。この取り組みを永続的な社会的インフラとして維持・拡大していくためには、皆さまからの温かいご支援が欠かせません。

ご寄付や活動へのご協力についての詳細は、下記ページをご覧ください。

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